【大誤算】地方から上京までしてエンジニアになり損ねた話

エンジニア

◆安定を捨てる選択

地方公務員として5年働いていた私は、ある日、退職届を提出することにしました。

理由は単純で、公務員という職業の将来性に、強い不安を感じていたからです。


年功序列による職場全体のモチベーション低下。

縮小していく事業規模。

そして何より「いざ転職したいと思ったときに、武器になるスキルが何もない」という焦燥感


周囲からは「もったいない」「安定を捨てるのか」とも言われましたが、
考えに考えた上での決意だったので揺らぐことはありませんでした。


目指したのはITエンジニアでした。

完全に未経験からの挑戦。なんなら民間への転職という要素もあり。

今後、いろんなものがデジタルで管理されている時代に、
需要がなくなることはないだろうと個人的に考えた結果でもありました。

管理人
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正直、知ったきっかけは、当時異様に盛り上がったエンジニア転職ブーム。

しかし、当時の私は地方在住。
地方都市にはエンジニアの未経験求人はほとんどありません。(本当にない)


求人サイトで検索しても、出てくるのは都内の案件ばかり。

「これは…上京するしかないか」


家族も友人もいない土地へ裸一貫で飛び込む。
正直、相当な勇気が必要でした。

でも現状のまま公務員を続けていくビジョンがとても恐ろしいものに思えて。

失敗するとしても今動かないと後悔する

そう自分に言い聞かせ、私は東京行きの飛行機のチケットを予約しました。

管理人
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めっちゃ葛藤した流れは今回は省略…。


◆「育成します」の罠

上京後の就職活動は、想像以上に厳しいものでした。

初めての転職、
未経験の職種、
そして知らない土地。

三重苦とはまさにこのこと。

書類選考で落とされ続け、面接すらたどり着けない日々が続きました。


ある程度貯めたお金があるとはいえ、日に日に削れていくというプレッシャー。

そんな焦りが募る中、ようやく面接までこぎつけた企業がありました。

その会社の伺った背景としてはこんな感じ。

・別のメイン事業を営んでいる親会社がある。
・今回、Webデザイナー・エンジニアを育成し、取引先へ派遣する事業を立ち上げた。
・その事業ごと子会社化され、今の会社となっている。

・元々取引のある企業へ派遣従事しながら、業務外にカリキュラムに取り組んでもらう。
・カリキュラムが終了すれば、エンジニアとして働ける企業で働いてもらう。

当時思った感想としては、
「どこもブームに乗っかるだけの人材確保に必死なんだなぁ」ということくらい。

研修期間に従事する企業は、エンジニアとは関連のない業務なのだろうなとは覚悟していました。
未経験を急に現場に受け入れられるような体力のある会社がそんなに多いとは思えない。


担当者「未経験でも大丈夫です。しっかり育成します。」


面接官の言葉は優しく、人当たりも良かったです。
私の知らない技術の話を流暢に語る姿に、「この人についていけば大丈夫かも」と思いました。

今考えればそりゃそうだろう…としか。自分は未経験なのですから。


実績について尋ねる。

担当者「実際にカリキュラムを修了して、お客様先で働いている方もいます。」

先駆者がいるのであれば頼もしい。



不安はありましたが、他に選択肢がありませんでした。

貯金残高を見れば、悠長に構えている余裕はないのですから。

私は入社を決めました。
上京してちょうど1か月ほど経つくらいのことでした。


◆中に入って初めて見える実態

入社初日、同期は20人以上いました。
皆、私と同じような未経験者です。

オリエンテーションで、カリキュラム内容や取り組む上での心がけなどがレクチャされました。

担当者「これを各自で進めておいてください。わからないことがあれば質問してくださいね。」

担当者「では、日中の業務ですが…」


早々に研修中に従事する派遣先への面談が行われました。

結果、同期が従事することになったのはコールセンターや携帯販売店でした。
私は公務員の経験を買われて、親会社のバックオフィス関連業務に従事することに。

担当者「カリキュラム修了までの間はこちらで働いていただきます。
    早くエンジニアとして働けるように頑張ってくださいね」

周りにいる同期の中には困惑した表情も見られました。
後から聞いた話では、どうやら聞かされていた話にばらつきがありそうでした。

なんならPCの扱い方すらそもそも怪しい人もいるという。

違和感を覚えながらも、この時は「そんなものか」と自分を納得させていました。


日中はコールセンターや携帯販売店で8時間働き、帰宅してからカリキュラムに取り組む。
正直、想像していた「育成環境」とはかけ離れていました。

周囲を見渡すと、モチベーションを失って、それらの業務だけをこなす人も増えていきました。

それでも、何人かはカリキュラムを修了していました。
私もなんとか終わらせ、「これで現場に行けるはずだ」と担当者に掛け合いました。

担当者「もう少し待ってください。案件が決まるまでは、引き続きこちらで。」

担当者「そういえばカリキュラム内容が追加されました。こちらも修了対象に含まれるので取り組んでもらえると。」


◆遠ざかり続けるゴールテープ

3ヶ月が経ち、4ヶ月が経った頃。

私たちより数ヶ月早く入社していた研修生の中から、退職者が出始めました。

「現場に行けるって言ってたのに、全然話が進まない」
「このままコールセンターで終わるのは嫌だ」

不満の声は日に日に大きくなっているように思えました。


決定的だったのがある出来事。
これまで断続的に少量追加されていたカリキュラムのボリュームが、大幅に増やされたことです。

担当者「より実践的なスキルを身につけてもらうため、内容を拡充しました」

この時、大量の退職者が出ました。
私の同期も気づけば半分以上が辞めていた状況。

私も迷いましたが、この数か月で見えてきたものを分析していくと結論は明確でした。


このままでは、エンジニアになれない。


◆半年で下した「英断」

入社から半年。私は退職を決意しました。

前職では新卒から5年間働きました。
その私が、たった半年で会社を辞める。

当時は「自分は何をやっているんだろう」という自己嫌悪しかありませんでした。
しかし、今振り返れば、あれは英断だったと思えます。


問題は、依然として実務経験がないこと。

半年費やしましたが、転職市場での価値は「未経験」のままなのです。

一人で上京してきた身としては、できる限り安定した条件で働きたい。
でも、そんな贅沢を言っている場合ではありません。


なりふり構わず求人を漁りました。

正社員、契約社員、派遣、そしてアルバイト。
やっと取り合ってもらえそうなのは、あるWebアプリ開発企業のアルバイト求人でした。


「公務員を辞めて、上京して、半年で退職して、次はアルバイトか…」

落ち込みはしましたが、ここで諦めるわけにはいかない。
いち早く実務経験を積み、駆け上がる材料にしていかなければ、と決意を新たにしました。


退職後、元同僚から聞いた話。

あの会社は結局、エンジニア育成事業で人員を確保し、
メインである別事業に人を充填する狙いがあったそうです。

私たちは、都合よく使われていただけでした。


◆やっと手に入れた実務経験

私は都内のWebアプリ開発会社でアルバイトとして働き始めました。

時給は決して高くない。
正社員ではない。

でも、求めていた「本物の実務」がありました。


エンジニアとしてもどのようなキャリアプランにするか考えも出来てないかった当時。

理解に時間はかかったものの、
アプリケーションもインフラも触る経験があったのはとてもありがたいことでした。


未経験の自分にやれることならと、
PCキッティングからドキュメント作成、夜間作業も進んで引き受けました。


1ヶ月後、その会社から正社員登用の話をいただきました。

「君の勤勉さや仕事の正確さは強みになる。うちで正社員として働いてほしいと思っている。」

あの時の喜びと安堵は今でも忘れられません。


あれから結構な月日が経ちましたが、今では別の会社でインフラエンジニアとして働いています。

有難いことに年収も公務員時代を優に超えるまでになりました。

環境にも恵まれ、リモートワークで場所にも縛られず、自分のペースで成長できています。
正直、恵まれすぎていると感じます。


「全てを投げ打って行動に出た結果、上京してまで危うくエンジニアになれなかった」
あの日々があったからこそ、今の自分があると感じます。(心臓には悪かったですが)


◆私が学んだ3つの教訓

願望でなく相手の立場で考える

何かが差し迫っている状況では、
どうしても「こうあってほしい」という願望で物事を見がちです。

求人票に「未経験歓迎・育成あり」と書かれていても、鵜呑みにしてはいけません。
私のように、別業務に従事させられるケースは少なくありませんので。

具体的な研修カリキュラムが明示されているか
実際に育成された人の事例があるか(名前や顔が出ているか)
口コミサイトでの評判はどうか

正直、最近の口コミサイトは非常に参考になります。
スポットのみの課金であれば、お金を払う価値は十分にあります。

ここでケチらずに退職者の声などをリサーチできていれば、
少し結末は変わっていたかもしれないですね…。

管理人
管理人

使えるものは使おう!!


判断したなら退く勇気も必要

「半年で辞めるなんて」と自分を責める必要はありません。
明らかに約束と違うといったことが発生するのであれば、しっかりと準備し逃げるべきです。

私は半年で退職しましたが、あのまま居続けていたら、今の自分はありません。
早めの損切りこそ、正しい選択だと言えます。

管理人
管理人

大前提として、今の環境を活かす努力はまず必要!


欲張らず一点集中する

正社員で安定したい
リモートがいい
夜勤はしたくない
自分の望む担当工程に携わりたい

率直な気持ちとしてはそうかもしれませんが、
初めから全てが手に入るわけがないと再認識しましょう。

未経験や経験が浅いのであれば、手に入れるべきは実務経験。
戦力としては期待されないのであれば、せめて柔軟性・積極性をアピールする他ないです。

私は片道2時間の会社で出社していた時期がありますが、
先につながると考えると全く苦ではありませんでした。

管理人
管理人

追い込まれた人間は強い。


◆おわりに

公務員からエンジニアへの転職は、全くもって平坦な道ではありませんでした。

いいように扱われ、挫折し、アルバイトからの再スタートです。

それでも考えることを止めなかった結果、今の自分に繋げられたと感じています。


この記事をご覧になってる方は、今まさにエンジニアを志す方かもしれませんが、
どうか同じ失敗はしないでほしいです。

エンジニア転職ブームが落ち着き、
ある程度、前述のような会社の実態が分かるようになってきましたが、
未だに同じような手法でキャリアを奪われているといった投稿をSNSで目にします。

情報収集を怠らず、怪しい会社は避け、泥臭くても確実な道を選んでほしいです。

今回の記事が少しでも判断の助けになったのであれば嬉しいです。

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